組織内サイレントマイノリティ

声を上げられない組織内少数派

「能力は変化しない」と思うリーダーを変えるためには(下)

「能力は変化しない」と思うリーダーも脇目も触れずに努力して成し遂げてきた時期があったはずである。よって初心に戻ってもらうために「自身のチャレンジ経験」「大変だった人の育成経験」を語ってもらうことである(前回まで)。

そして3つめは「自分が育てられた経験」について語ってもらう。新入社員時はなにもできないところから上司・先輩に色々教えてもらい、ひとつひとつ仕事を覚えていったはずだ。そしてどういうとき(具体的な指導)にやる気が起こり、仕事を完成させ認められたのか、そのときにどう成長できたのか、どう嬉しかったのか2~3つくらい述べてもらう。そのとき才能だけでできることはないことを認めさせ、どう努力したのか、そしてその努力の結果が能力を伸ばせるものであることを思い出してもらう。

最後に「自身の100年ライフ時代のキャリア構築」について語ってもらう。おそらく取締役や役員になることと上昇志向的なことを語るだろう。ここでは「何になりたい」ではなく、「何をやりたい」に目を向けさせることだ。
「全能で、強くて、良い自己(キャロル・ドゥエック談)」を装い、自分を引き上げて(昇進昇格)くれそうな人が好む姿になりたい・なっていると(自然に)振る舞っているはずだ。

「何をやりたい」に目を向けさせるためには「こしらえようとしている自己の返上(キャロル・ドゥエック談)」してもらわなければならない。そのためにはそれ相応な理由を出すことが必要だ。どんなに自己をこしらえて引き上げてもらって、昇進昇格してもせいぜい65歳くらいまでしか組織は面倒みてくれない事実を認識させる。そして100年ライフ時代において残り35年を余生としてどういう生活を過ごしているか想像してもらおう、げんなりするはずだ。

また働くとして65歳を過ぎたシニアが「自分の得意なこと、できることは部長(役員)です」という人を雇い入れることが、現実的にいかに厳しいか確認してもらう。「今のあなたが面接でそういう人が来たらどうしますか?間違いなく落としますよね」と。そして、どのようなシニアであれば雇うのか、どういう経歴や持論を持っているのか、そして今の自分でシニアまでにどう雇われるものを持てばいいのか、考え答えてもらう。通用するのは専門的なスキル・知識に裏打ちされた様々な課題解決策の提示や具体的な行動であることがわかるはずである。

ただ、わかっても今まで築き上げてきたものを壊すのは難しい。。

とにかく一定のところまで伴走する人が必要だ。「何をやりたい」を基本としたキャリア戦略を考え、マイルストーン毎の目標を立てさせる。考え行動した努力や挫折しながらチャレンジしたことを褒め承認し、小さい成功体験を積み重ねてもらい、成長の楽しさを思い出してもらうことだ。

どのような状態になるまで一定の伴走が必要なのか。今まで寄り付きもしない人、面従腹背だった人が「なんか変わったな」と気づく、そして助ける、応援するような行動してくれるようになればグロースマインドセットになってきたという目印。一定のところまで来たとして伴走から離れて見守るようにすべきであろう。

人のマインドセットを変えるのは大変なことである。我慢と忍耐で伴走・見守る必要がある。

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