組織内サイレントマイノリティ

声を上げられない組織内少数派

HRサミット「プロフェッショナル人材を育む人事制度の在り方とは」で学んだこと(下)

前回は日本総研チーフエコノミスト山田久様からマクロの視点からプロフェッショナル人材がなぜ必要か、プロフェッショナル人材を創るための提言をいただきました。

それを受けて、プロフェッショナル人材を創るためにハイブリッドな人事制度と計画的に育成していく戦略的機能をどう創り、運用していくのか、カゴメ執行役員人事部長の有沢様からお話しいただいたことを書きます。

有沢様は協和銀行入社(現りそな銀行)され、営業、総合企画、人事をご経験。その後、HOYAで人事・戦略最高責任者、AIU保険人事担当執行役員を経て、2012年カゴメにご入社、現在、執行役員経営企画本部人事部長でいらっしゃいます。カゴメの人事のグローバル化の実現をめざし、2013年から人事制度改革に取り組まれています。

グローバルで本気に戦うためには「企業は人なり」とあるが、人づくりを行うことが大切。そのためにはグローバル化を推進するための基盤づくりを行う必要がある。2013年からグローバル人事制度構築に取り組み、ジョブ・グレード、評価・報酬制度等の「インフラづくり」を構築。今後はグローバルにいる人材を経営に生かすための戦略人事施策の展開していく。そこにはプロフェッショナル人材創りがキーポイントであり、それを見据えて一つ一つ人事施策を構築していくこと。フェーズ1は「役員人事制度の構築」であり、「役員評価制度・報酬制度の構築、ストックオプション」「役員、部長を対象にしたグローバル・ジョブ・グレードを日本、米国、欧州、豪州に導入」「役員への職務記述書の導入」「部長評価報酬制度の改訂」と「上から変えるとともに、外(海外)へも同時に導入」であり、上から意識を変えることがポイントである。「グローバル・ジョブ・グレード」は、すべての施策の基盤でもあり、プロフェショナル人材創りにとっても重要である。

2015年には管理職人事制度も改訂する。「年功型」から「職務型」に移行した。それに伴い、報酬制度を改革し、メリハリを付けた明確な処遇の実現を目指す。また「ポジション毎のミッション・アカウンタビリティと処遇の関係性の可視化」「社員の納得感の醸成とモチベーションの向上」「ダイバーシティ対応力強化」「グローバル・カゴメ・グループでの適材適所の実現」をねらいとしたものである。

ここでキーポイントは非管理職層に「職務型」を導入せず、「職能型」のままにしたことである。若いうちは色々な経験を積むことが様々な仕事を知り、また職務遂行能力も高まる。そして一番大きいのは管理職になった時にその経験を活かしてマネジメントやOJTができることである。また管理職層以上の「職務型」を等級制度ではなく、資格制度で運用していることである。資格制度で運用しながら非管理職層までは「職能型」、管理職以上は「職務型」というハイブリッドな人事制度を構築している。

プロフェショナル人材でも短期で成果が上がらないとモチベーションが下がる。パフォーマンスオリエンテッドは厳しい。よって昇進昇格制度と業績評価を完全に分けて運用してもらうために、昇進昇格は論文・アセスメントで決めること、業績評価は昇進昇格制度に影響しない旨を現場に伝達。それ以降は現場から上がってきた評価は正規分布となった(いままではA15%、B84%、Cは1%)。

役職定年制度を導入することになるが、役職定年対象者から人に関する職務のプロフェショナルになってもらう人材を指名。人材育成を責任持って担当してもらうために知識スキルの研修や資格を役職定年前から受けてもらい、新たな役割に望んでもらう仕掛けと仕組み構築を行なっている。

カゴメではプロフェッショナル人材の発掘のために部門毎にあるべき人材像を策定するプロジェクトを立ち上げている。あるべき人材像では持つべきコンピテンシーやスキルなども検討させる現場にはかなり難しいテーマである。そうした中、自主的に手を挙げるリーダーが出てくるが、そうしたリーダーに片っ端から面談して、その人自身のキャリアパスについて話したり、プロジェクトへのアドバイスを行ったりする。そういった地道な活動がプロフェッショナル人材、プロフェショナル人材を育成する人材を創っていくのである。

明日からの業務に非常に参考になるお話しでした。山田さん、有沢さんありがとうございました!

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