組織内サイレントマイノリティ

声を上げられない組織内少数派

諏訪康雄・法政大学 名誉教授からの私(須東)の社会課題へ挑戦に向けたメッセージ

さらなるキャリア展開へ

諏訪康雄・法政大学 名誉教授

須東さんとのお付き合いは、須東さんが社会人大学院の博士課程に入学されたことにより始まります。
須東さんは、雇用政策プログラムの研究室に所属し、科学研究費による大規模なインターネット調査実施における コーディネーター役を務めるなど、もちまえの精力的な行動力を発揮して、研究活動を推進する役割をはたされました。

須東さんの調査研究の視点は、社会性のあるユニークなものでした。とりわけ、長期雇用志向の会社で、 所属組織から一定のレッテルを貼られた人が「塩漬け」状態になっているとしたならば、本人にとってはもちろんのこと、 組織にとっても、さらには社会にとっても、望ましいことではなく、何とか建設的な解決策を考案しなければならない、 という須東さんの強烈な問題意識には、共感を覚えました。

こうして、須東さんは組織内の「塩漬け人材」をめぐる本格的な研究に取り組まれ、先行研究を読み、あれこれ議論し、フィールド調査をし、また議論するという日々を続けられました。博士課程の院生ゼミでも、他の院生との質疑応答の際 、実に活発な意見交換をなされていました。

そうこうする内に、私は定年で大学を退くこととなり、研究指導は後任教授に引き継がれましたが、 須東さんのテーマは、常に心に引っかかっています。

今の世のなかでは、20歳前後で社会に出て仕事を始め、70歳近くまで働き続ける時代となり、 職業人生の折り返し点である「45歳」から後のキャリアをどう展開するかは、 誰にとっても避けて通ることのできない切実な課題となりました。
若さ志向の、45歳以前に重心をおく、多くのピラミッド型階層組織では、45歳あたりが大きな選別の時期となります。
全員が全員、希望どおりの地位や業務に恵まれるわけではありません。

それなりに経済的に評価され、社会的にも評価され、本人もやりがいをもって働き続けられるようになるには、 社会全体、業界、会社、そして本人は、どんなシステムのもと、どんな条件を満たすべき必要があるのでしょうか。
どうしたら、実務的に、望ましい状態が実現可能となるのでしょうか。

このたび須東さんが立ち上げた一般社団法人は、まさしく、こうした問題に正面から取り組もうとするものかと思われます。
少子高齢化は、日本が世界の先頭を切って立ち向かうべき挑戦課題となっていますが、その背後には他の多くの国が続いています。
中高年の適切なキャリア形成とキャリア展開は、日本だけでなく、世界的な課題なのです。

須東さんのチャレンジ精神に敬意を表するとともに、ご活躍に大いに期待いたしております。頑張れ!

(諏訪康雄・法政大学名誉教授)

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