「能力は変化しない」というリーダーの共通点をキャロル・ドゥエックは明らかにしている。「人間には優劣の差があるという信念から出発している。そして自分の優位性を証明して見せる必要に駆られている。またその証明と誇示のために部下を利用し、部下の成長を育もうとは考えていない。」(「マインドセット」P163)
「優劣の差」にいかに目を向けないようにするかが重要である。結果的にそういう資質で行動しているが、脇目も触れずに努力して成し遂げてきた時期があったはずだ。
そこでまず最初に「自身のチャレンジ経験」について話してもらう。どんな方法で、どれだけ努力したのか、またどういう取り組みが成功へと導いたのか、その取り組みの中で挑戦的で大変だったのかというプロセスに目を向け、具体的に列挙してもらう。才能だけでできることはなく、努力をしたこと、することの大切さ、そして能力は伸ばせるものであるということを思い出してもらうことが大切だ。
次に「大変だった人の育成経験」について語ってもらう。ここには大変だった人の中には上司も含まれる。上司も部下によって学び育つことがある。どう大変だったか、そしてどうやってプロジェクトに巻き込んだのか、またその気にさせて成功に導くために何をしたのか、その時に具体的にどう成長できたのか、部下を成長させるための持論は何かをヒアリングする。部下は成長するものであり、成長したから今のリーダー職に就けたということを思い出してもらうことが大切である。